2007年 05月 29日
日暮れの背中 |
以前、友達が作った『夜明けの背中』という曲の話をした。
その曲のタイトルだけをとって考えると確かに今観ている夜明けの背中を後ろに回って観ることは出来ないのだけれど、この夜明けの反対側で今まさに日暮れを拝んでいる人は居るかもしれないと想像してみる。
その人にとってそれは日暮れ以外のなにものでもない筈で、今僕に夜明けの背中を観ているぞと教えてくれるわけはないのだけれど、僕がそう想像したことによってその人と僕の間には何かしらのつながりが生まれることになるわけだ。おまけに視線の角度も身体の向きも真正面に対峙していることになって、これを遠目から観ればまさに太陽を挟んでお互いが左右対象の構図になっているに違いない。なんと美しい関係じゃないか。
その一生会えないかもしれない想像上の友人に対して、今僕は「君が観ている日暮れの背中をほら、今僕が観ているのだよ」と教えたくて仕方がない。
けれどもよく考えてみればここから東へ真直ぐ、8〜9時間ほどマイナスの時差があるような場所はどうも太平洋のど真ん中のようで、そこで夕暮れを拝んでいるような物好きな人間は洋上を航海する大型船の船員以外は考えにくく、たとえ想像上であろうともそんな友人を見つけられる確率は極端に低いということになる。
いやまったく。
by digitaris
| 2007-05-29 16:42
| トクラ マクラ