2007年 02月 10日
鉄の未来 |
国道23号線という道路。
地図で見ると一目瞭然だが、伊良湖岬の付け根豊橋付近から志摩半島の付け根である鳥羽まで、三河湾を含む伊勢湾岸を取り囲むように走っている。
昔から渋滞に悩まされる一号線の裏道として知る人ぞ知るの存在だったが、この10何年くらいの間に道がどんどん整備され、ほとんどバイパスだけというような立派な道路になってしまった。沿線に名古屋港と四日市を抱えている性格上大型トラックが列をなして走っているが、信号があまり無いので料金の要る高速道路を使わずにこっちの道を利用する事の方が多くなった。
今でもバイパス作りは盛んで、このまま行くと横浜の国道16号バイパスのように制限速度80kmの高速フリーウェイに昇格するのは時間の問題だろう。
しかしこの建設途中の高架の橋桁を見ていると、見えているこのほんの僅かな一部分だけでどれほどの鉄骨が使われているのか、想像しようとするだけで目眩がする。
さらにこの上からどれだけの量のコンクリートが流し込まれるのか・・・。
いや待てよ。
しびれる頭をなんとかもみほぐして考えてみれば、こうやって立派な道路が地上を埋め尽くして行くうちに、その材料となる鉄鉱石や石灰岩がどんどん掘り尽くされて行く。いやそれだけではない。交通の便が良くなれば、需要に対する供給を満たすために湾岸はどんどん埋め立てられ、そのための土はどこかの山を崩して持ち込まれる。さらにその上を道路が埋め尽くす。
しかし本当に、真の意味で需要はそんなにあるのか???
ライブドアじゃないけれど、ちょっととんがった頭をもたげると、今の世の中どこかがすぐつぶしにかかる。富士山や槍ヶ岳以外は不味そうなお好み焼きみたいにぺたぺた叩かれて平らに均されてしまう。そしてその上から大量消費、利潤追求の蜘蛛の糸が丁寧に張り巡らされるというわけだ。
その富士山だって安穏とはしていられない。温暖化という思わぬ伏兵が存在を脅かそうとしている。そしてその原因を作り出したのは・・・。
まあこれから10世紀ほど経っても人類がまだ滅びていなければ、その間に地上は完全に平面になってしまうのかもね。
10年以上前にこんな話を聞いたことがある。
自動車の生産が需要を上回るようになって、大量の新車を駐車させておくスペースが必要となった。しかし地価の高騰で広大な駐車スペースを確保する事が出来ない。そこで大型トラックに何台も車を積んで道路を走らせる事にした。そのトラックはなんの目的も無くただ日本の道路を走りつづけ、注文があった時にだけ納車するための場所に向かうという。
駐車スペースを確保するよりもガソリン代、高速代を払ってでも道路を走らせておいた方が安上がりだというのだ。
今石油価格は高騰して、逆に地価はバブル時代から比べれば下がっているだろう。それでも新車を満載したトラックはいまだそこいら中走り回っている。
いったいどうなっている事やら。
地球温暖化防止、などというスローガンが絵に描いた餅のようなものに見えてしまうのは今更の話ではないんだけどな。それでも車をよく使う身として、とりあえずアイドリング・ストップは心がけているが、凍えるような夜にそれをやるのは悲しいほど空しい。
by digitaris
| 2007-02-10 15:51
| 日の丸観光